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「なんでもないっすよ。ちょうどこれから、真理子ちゃんの家に遊びに行かせてもらうところで」
「あらあら、楽しそうでいいわねえ」
女性は孝の髪の色をしげしげと眺めながらも、手探りで鍵を取り出すと、ドアを開いた。
「どうぞ」
女性がガサガサ音を立てて入っていく。
「ちょっと」
真理子は女性に聞こえないほどの小さな声で言ったけれど、孝はわざとらしく
「なに?」
と大きな声で返すものだから、それ以上何も言うことは出来なかった。
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