1:プロローグ

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しかし手だけは微かに震えていた。 ほっそりとした白い指は、きつく包丁の柄を握る。 ほっそりとした指の間で居心地悪そうに収まる包丁は、出番を今か今かと待っていた。 そして少女も、その時がくればためらうことなく包丁を振り上げ、相手に突き刺すことを決めていた。 実行できる時を、心待ちにしていたのである。 そして、それは間違いなく今だった。
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