2:夢という名の言い訳

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それから孝は、暇になると真理子にメールを寄こすようになった。 そして当然のように家に上がりこんでくる。 家に来る以外の用件でメールが来ることはなかった。 真理子が何かメールしたとしても、返事はなかったに違いない。 もっとも、真理子は自分から孝に連絡を取ろうとすることはなかったのだが。 真理子は再び孝と連絡を取るようになって、不思議な夢をみるようになった。 それは、奈々の夢ではない。 同じ高校の制服を着た少女の夢なのである。 しかし、真理子は彼女が誰なのか分からなかった。 一度見たら忘れられないだろうと思うほど美しい顔立ちの少女だったが、真理子は見たことがなかった。
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