1:プロローグ

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滑らかに足を進めて、門を開く。 不思議と、音はしなかった。 音をすべて吸い込んでしまうような漆黒の闇の中で、少女の白い足だけが光っている。 電灯はついていない。光を発しているのは、糸のように細く浮かぶ月ばかりだ。 それでも確かに、少女はぼんやりと光っていた。 内側から溢れ出る光を抑えきれないと言わんばかりに、ほのかな光が少女の姿を浮かび上がらせていた。
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