2:夢という名の言い訳

61/82
前へ
/278ページ
次へ
「でしょ?」 八木は屈託のない笑顔を浮かべたが、真理子は怪訝そうに顔をしかめる。 「なんか、味変わった?」 「へ?」 「この前より、甘くない気がする」 「はあ?」 チョコレートを掴み、しげしげと眺める八木。 しかし、ためらうことなく口に入れると、心地よい音を立ててそれを砕いた。 「全然わかんない。同じ味でしょ」 「そうかなあ」 真理子はじっと、箱に並んだチョコレートを見つめる。 そのどれもが、手にとって欲しそうに艶やかに輝いていた。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

578人が本棚に入れています
本棚に追加