2:夢という名の言い訳

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真理子も少し笑いそうになったものの、慌てて口元を引き締める。 「わたしの?」 「うん」 八木が止めることなく動かす手は、鞄から次々にプチショコラを取り出していく。 「ちょ、ちょっと……出しすぎでしょ」 「これはねえ、予備の分」 「予備って……非常食じゃないんだから」 「非常食にもなるよ?あれば、安心でしょ」 「いや、そういう問題じゃないでしょ」 彼がやっと鞄から手を離したときには、机の上に真っ赤な山が出来ていた。 一体何個あるのかなんて、数えたくもなくなる数だ。 ダンボールで大人買いするとは、こういうことなんだろうと思いながら、真理子は突如現れた山を呆然と見つめたのだった。
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