2:夢という名の言い訳

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「よう」 真理子が校舎を出ると、孝が小走りで近づいてきた。 「よっ」 真理子が言いながら振り返る。 ちょうど下校の時刻ということもあり、まだまだ多くの生徒が歩いていた。 「今日、古文の時間にさあ……」 彼が話し始めるのを 「古文の時間って、孝起きてることあるんだ」 と突っ込みを入れながら聞いていると、彼の後ろを、ちょうど通りかかった少女がいた。 艶やかな黒髪をなびかせて、足早に通り過ぎる瞬間、柑橘系の爽やかな香りが鼻をくすぐる。
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