2:夢という名の言い訳

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「あっ」 小さく声をあげると、真理子は思わず足を止めた。 そして、彼女の後を追うように、目を走らせる。 しかし、その少女はちょうど角に姿を消すところで、見えたのは長い黒髪の先だけだった。 一つにまとめているのだろう。 まさにポニーテール、馬の尾のように光を跳ね返しながら見えた髪の先は、一秒にも満たない光景を真理子に残しただけだった。 けれども真理子は、その少女に見覚えがあった。 「あの子……」 「は?」 不思議そうに見つめられていることに気が付くと、真理子は慌てて孝の腕をとった。 「ごめんごめん。なんでもない、行こっ」 再び歩き出した真理子に孝は少し首をかしげながらも、また話を始める。 それに笑顔で答えながらも、真理子の頭には少女の黒髪の映像が何度も映し出されているのだった。
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