2:夢という名の言い訳

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「ちょっとお、聞いてんの?」 奈美が真理子の腕を揺らす。 すると、真理子はようやく奈美に視線をずらした。 「うん」 「うんって……」 奈美は何か言いたそうにしながらも、それ以上追求することはなかった。 そして、いかにそのアイライナーが素敵かの説明を延々と続けるのだった。 おかげで、真理子が再び、奈々の机があった空間を見つめている事を咎めるものはいなくなっていた。 辺りでは、いつも通りの賑やかな声が飛び交っている。 だれも、机が一つ減ったことなど気が付いてはいないようだ。 もしかしたら、気が付いている者はいるのかもしれない。 しかし、口に出さないのならば同じことだ。
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