2:夢という名の言い訳

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「でね、でね。 それで、買っちゃったんだあ。頑張ったよ! あ、良かったら貸すから、真理子も使ってみなよお」 奈美の手に目をやると、いかにも人工的なピンク色のアイライナーが、握られていた。 とてもじゃないが、真理子には好きになれそうもない。 小さく笑って断ると、奈美は不服そうに唇を尖らした。 それから、少し間を置いて、言った。 「あ、この色って、奈々思い出すねえ」 それが何を意味していたのかは分からない。 説明しようともせず、奈美はそれを乱暴にポーチに放り投げ、音を立てて蓋を閉じた。 横目で奈美を見ると、彼女の瞼はきっちりとピンク色の線が引かれている。 少し汗で滲んでいるのに気がついて、奈美は確かに生きているのだと思った。
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