2:夢という名の言い訳

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帰り道、真理子は一人で家に向かって歩いていた。 しかし、ふと思いついて、いつもとは違う道を通っている。 その道を通ると、遠回りになってしまうため普段は使うことがない。 けれども、温かい日ざしの中、心地よい風に吹かれているうちに自然と足がそちらに向いたのだった。 家からも高校からも近いというのに、新しい道を通ると、いくつも新しい発見がある。 美味しそうな香りが漂うパン屋。 幼稚園を覗くと見える、水色の帽子をかぶって走り回る子ども達。 色とりどりの花が溢れんばかりに並べられた花屋。 真理子は花の名前なんてほとんど分からなかったけれど、しばし花屋の前に立ち止まって、鮮やかな色を楽しんだ。
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