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前を見て、右を見て。そして左を見ると、そのマンションが目に入った。
その向こう側に、真理子のマンションがある。
何気なく歩き始めた足は、そのマンションに向かっていた。
帰るには通り道なのだから、そのマンションを見てみたいと思ったのである。
どうせ散歩ついでだ。
そのくらいの軽い気持だった。
耳には、流行の音楽が流れ込んでくる。
どこかの店で流しているのだろう。
それは真理子が足を進める度に、少しづつ遠のいて、ついに聞こえなくなってしまった。
しかし真理子の頭の中では、繰り返し繰り返し、音楽が流れ続ける。
最後まで正確に覚えていないため、覚えている部分だけが、延々と続いていた。
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