2:夢という名の言い訳

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五分もかからないうちに、そのマンションに着いていた。 着いたと言っても、そこが目的地だというわけでもなく、真理子は少し上を見上げながら通過していく。 「五階だから……あの辺かな」 家から見えた花の姿を探して空を仰いだが、チラリと緑色のものが見えた気がする、という程度。 ほとんどはベランダの柵でみることは出来なかった。 まあ、こんなもんかな。真理子は溜め息をついて、また前を向き、マンションのエントランスの前を通り過ぎる。 中に、ちょうどエレベーターから出てきた人が見えた。 自分と同じくらいの高校生。背の高い、茶髪の男子。
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