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どこから落ちてきたのだろう。
見上げてみると、そこは家から見えたマンションだった。
だとすると、この花びらは、あの時にみた赤い花のものかもしれない。
ふと真理子は、くるりと体の向きを変えると、そのマンションに入っていった。
手には、柔らかく花びらを包んだまま。
セキュリティーのかかっているはずの扉は自然と開き、真理子を受け入れた。
そしてエレベーターに乗って、五階に向かって上がっていく。
しかしボタンを押してもいないのに、エレベーターは途中で止まり、新たな乗客を乗せた。
黒髪の少女と背の高い男。
男は確かに孝だった。
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