3:悪夢をみせて

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少女は、いつも夢で見る少女で、やはり同じように制服を着ていた。 しかし、髪をおろし、背中の半ばまでたらした様子は、いつもよりも彼女を大人っぽく見せている。 2人は真理子に気付く様子もなく、エレベーターに乗り込むと真理子の前に背を向けて立った。 そして五階で、3人は自然に降りる。 孝は上機嫌で口笛なんか吹いているが、少女は青ざめた顔をして部屋に入っていく。 真理子もその後を追った。 部屋は綺麗に片付けられていて、家具も最低限のものしか置かれていない。 ワンルームのこじんまりとした部屋は、ベッドで部屋の半分は埋まっている。 ベッドの向こうに見えるベランダには、たくさんの葉を茂らせた赤い花が、植木鉢に植えられていた。
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