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あの温かな光たちは私と同じなのだと思った。先ほど歩いていたときに感じたのは、彼らの存在だったようだ。
「さあ、行きましょうか。あんたは私の最後のお客様ってことになるわね」
姉と並んで私は歩き出す。
たくさんの光と、姉の持つ提灯が世界を照らしている。
「にしてもあんた、私より何十年も生きたくせに、ぜんぜん成長してないんじゃない?」
橋を渡りながら姉の手を取り、幸せを噛みしめていると、姉が悪戯気に言った。本気でそう言っているわけではないことは目を見ればわかる。
でも姉のお遊びに、私は付き合ってやることにした。
「む。そんなことないよ。さっきも言ったけど、私、幸せ者なんだからね」
「へぇ、それは詳しく聞きたいわね」
姉が笑う。私も笑った。
聞かせてあげようじゃないか。私の駆け抜けた一生を。私がいかに幸せだったのかを。そして、どれだけ貴方の面影に支えられて、私が生きてきたのかを。
時間はまだまだたくさんあるのだから。
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