3人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんたにしてみたら、残される側の気持ちになれ、ってとこなんでしょうね。でも、こればっかりはどうしようもないわね。悔しかったら、あんたも幸せに生き抜いて見せなさい」
なんて強く、優しい人なのだろう……。最期の最期まで、姉は命の炎を力強く燃やすのだろう。
私は姉の手を離して、乱暴に涙を拭った。強くなりたいと思った。一人でも大丈夫だという強さを、姉に見せておきたかった。
「……私が私の命を精一杯生きたら。お姉ちゃんみたいに幸せになれたら……、またお姉ちゃんに会える?」
それを聞いた姉は目を丸くして、そして笑った。
「あたりまえでしょ。私はあなたのお姉ちゃんなのよ?」
いつもの姉の笑顔だった。
――またね
そう言いながら笑った、姉の最後の笑顔を私は忘れることがなかった。
最初のコメントを投稿しよう!