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気持ちというものは声にしなくてもわかることってあるのかもしれないと思った。
例えば、俺の父親がリビングで新聞を読んでいる最中、「おい」と母親に声をかける。その一言で「コーヒー?」とわかってしまうみたいに。
「キスしてみる?」と言って、背伸びしたミアのつま先はそれ同様に思えたんだ。
そんな熟年夫婦のなせる技と比べること自体が間違っていたのかもしれないけど。
だからあの日、二度目のキスは俺をそんな気持ちにさせるのに十分だった。
翌日はずっとソワソワしてた。いつもと一緒でミアの顔が見れなかった。
違うのは、もしかしてミアも俺のことを一昨日までの俺とは別人みたいに見えているのではないかということを、俺が意識してるということだった。
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