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放課後、部活が始まり、外周をダラダラと走りながら谷たちにそのことを報告した。
ミチオなんか興奮して口の端から泡を出してた。そして「次はヒロムの番かよ」と恨めしそうに言われた。
モテる谷だって疑うこともなく、その日の帰り際に、鞄の中に入れっぱなしにしていた小さな包みを「餞別(センベツ)だ」と言って手渡してきた。
それは、初めてを交わすときに使えという意味のものだった。
お前は何を持ち歩いてるんだ、と言いながらも、ヒンヤリとしたシルバーの袋が三つ。指で掴んでまじまじと見てしまった。
「ミアちゃんの為に練習しとけよ」なんて言いながら。
まるで、ミアと俺が付き合えることが決まっているような口ぶりだった。
他人から見てもそう見えるってことは、ミアは俺のこと好きなのかもしれないと益々、心は上へ上へと向かって行った。
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