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「はい、ごめんね?
さっきのは冗談だよー」
体温計を僕に渡してへらへらと笑う伊野尾先生、少しだけ、胸が高鳴る
…熱の、せい
「お前その内本当に生徒襲いそうで怖いわ」
「うるせえよ山田、だいたいお前がしょっちゅうここに来るからだろ、変な噂がたつのは。」
体温計を脇に挟んでぼーっと二人の会話を見つめる。
仲良しだなー、長年の付き合いなのかなー、みたいな
ーピピピ
聞きなれたような電子音が聞こえて体温計を見つめれば37.7℃元から平熱が高い僕には、微熱くらいかな?
「え、お前やばくね?
よく普通に過ごしてたね」
山田先輩が横から体温計を奪ってきて目を丸める
「お前は平熱低いからこんくらいでたらふらふらかもしんねーけど、普通こんくらいなら基本みんな微熱くらいに感じるよ」
伊野尾先生が山田先生に軽く突っ込むとへー、と山田先輩はなっとくしていた
「んー、それにしても顔色悪いな、今日は早退しな?」
伊野尾先生の手が伸びて撫でられる
「…はい。」
「んでも、1人で帰すのは不安だなー。」
わざとらしく山田先輩をチラチラ見ながら伊野尾先生は言った
「どうせサボるし俺が送ってやるよ」
山田先輩も少しだけため息をついて僕の頭を撫でる
「…あ、ありがとうございます」
本当なら、ご丁寧にお断りしたいのだけれど
1週間前のあの唇の感覚が頭をよぎる。けど
すでに視界がふわふわしてる僕にはお断りは無理でした
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