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「そういえばさ~、結局のところ、亜貴の容態ってどうな訳?」
「いや、それが……」
「容態のこと、皆に言わないで欲しい?」
「ん、そう」
退院の為に洋服やらなんやらを片付けている時、亜貴は淡々と言った。
思い当たる理由は1つ。
同情されたくないんだと思う。
亜貴の性格上、同情なんて類いは特に嫌う。結構、サバサバしてるから、そういうの嫌がるもんね、亜貴。
「わかったよ。言わないね」
「……理由、聞かないのか?」
疑問に満ちた目で、亜貴は私を見つめる。
「亜貴のことなら、なんでもわかるよ」
「…そっか、さんきゅ」
それからは、お互い無言だった。
ただただ、無音で時間が過ぎていった。
だけど、悪い気はしなかった。寧ろ、心地良かった。
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