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「あっ、ねぇ。私さパフェ食べたいんだよね~…」
「ごめん、今日はお母さんが帰ってきてる日だから…」
「そっか、仕方ないよね…、記憶ないんだもん。そりゃ心配するわ…」
……そう、私、一ノ瀬 美和は数週間前からの前の記憶がまったくない。
ショックな出来事があって記憶が飛んだのではないか、そう医者から言われた。
けれど、記憶のない私にはわからなくて、無理に思い出そうとすると、頭が痛くて…。
そんな私を見た両親は、前の記憶について、何も言わなかった。
桃子を含め、友人達も何も言わなかった。
私のことを思ってのことなのはわかっている。
けれど……どうしても、私だけ知らないことを皆知っていることに、不安を募らせていた――
「じゃ、また明日ねん!明日は食べ行こっ」
「うん、また明日。楽しみにしてるね!」
そう言って、桃子と別れた。
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