*第1章*

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「ピーッ。白石夏音さん04時54分ご臨終いたしました。」 くらくらする。頭が痛い。これは現実だろうか。それとも私は悪夢を見ているのだろうか。 突然の交通事故、それはあまりにも突然すぎた。 今日はお姉ちゃんにとって生涯で忘れることのできないかけがえのない1日になるはずだった。 ナゼ?ドウシテ?私たち姉妹にはお互い以外の身内がいない。正確に言うと、いるかもしれないのだが認知していない。私にとってお姉ちゃんは唯一の家族だったのだ。 隣でお姉ちゃんの婚約者である徹さんが大声をあげて泣いている。お姉ちゃんが病院に搬送されてから夜通し寝ないでお姉ちゃんのそばにいた徹さんの顔はくまができやつれている。徹さんは過呼吸になり床にへたり込むと看護師に連れて行かれた。 もう一人の看護師が私を見て「大丈夫ですか?」と言った。大丈夫なわけがない。お姉ちゃんがいなくなった今私は明日からどうやって生きていけば良いのだろうか。
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