287人が本棚に入れています
本棚に追加
†
(さて……確かダスは……)
第1支部のありの巣のように複雑な通路を、マロウは辺りを見回しながら歩いていた。
ダスが言うには、早ければ今日中にでもジャッジメントが攻めてくるそうだ。
ならそれに備えて準備をするべき――というのは理解していたが、クナイの洗浄を終えた今、準備しなければならないことはもうなかった。
故にマロウは、空いた時間であることをしようとしていた。
(ここですね……)
一見ただの廊下。
が、マロウの瞳は廊下の壁のある一点を鋭く見据えている。
マロウはそこへゆっくりと歩み寄り、壁にそっと手を当て、グッと力を込める。
するとそこを中心として正方形に壁が陥没し、ガコン、と重い音を響かせる。
そのまま陥没した部分が右にスライドし、奥に三つのボタンが現れる。
それぞれ色が違い、端から赤、青、黄だ。
マロウが迷いなく赤いボタンを押すと、背後からカコン、と小さな音が耳に届いた。
マロウは音の方向へ向かい、また何もないただの壁を押す。
壁は少しの抵抗と共に、人一人がギリギリ通り抜けられる程度に向こう側へと開いた。
最初のコメントを投稿しよう!