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「さて、ソアラちゃん、君にはこれからほぼ不眠不休でここのデータベースを守ってもらう訳だが、ちゃんと寝てきたかい?」
「はい。もう寝たくないと思うくらい。お兄ちゃんが、風邪でも引いたのかって凄く心配しちゃいまして。説明するのに苦労しました」
クスクスと思い出し笑いをするソアラ。
その言葉を聞いてロジーも若干の苦笑いを浮かべる。
「ははは、ラウルなら確かに過剰に心配しそうだ。ま、これなら大丈夫そうだね。さっそく始めてくれ」
「はい」
短く答え、ソアラは椅子に深く座り直して体重を預け、ロジーに渡された装置に手を当てて目を閉じる。
ピシィ
指を弾くような音と共にソアラの指から一瞬微弱な電流がほとばしり、ソアラの全身から力が抜ける。
次の瞬間、部屋に置いてあった無数のパソコンが次々に起動し始める。
その画面にはおよそ普通の人間には視認できないであろう速度で文字が流れ、ほんの十秒ほどで全てのパソコンの画面に『Complete』の文字が現れた。
脱力していた体がピクリと動き、ソアラの瞳がゆっくり開く。
「とりあえず考えられる侵入可能な部分全てに仕掛けられるだけトラップを仕掛けておきました。後は高みの見物、万が一突破されても私が直接迎撃します」
自信満々なその口調にロジーは流石に目を見開いた。
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