王城突入

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       † 一通りの準備を終え、作戦決行までの特に何もすることがなくなった空き時間。 自室で仮眠を取っていたクロードの耳に、遠慮など欠片も感じられない、拳ではなく何かの金属をぶつけているようなノックが響く。 その一瞬後に、少し気の抜けたような声がドアの向こうで発せられる。 「ロード、少しお時間いただいてもよろしいでしょうか?」 「ん……入れ。あと、ノックはもう少し軽くしろ、サフェス」 「ははっ、ちょっとした冗談ですよ」 クロードが起き上がってすぐ、肩まである金髪を揺らしながら、サフェスが部屋に入ってきた。 相変わらず糸のように細い目に蓄えられた感情は全く想像もつかない。 ただ、言葉の端々から何かを楽しんでいるような雰囲気がクロードに伝わってきた。 「で、何のようだ?」 「はい。簡単に言えば、あなたの最終目的について」 「……言ってみろ」 クロードの最終目的はリュシアンによる時間回帰を防ぐこと。 それは流石に知られていないだろう。が、この男には一度ヘブンズゲートの話をしている。 どう曲解したのか、クロードはそれが心配であった。
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