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「この男、現在城の地下牢に幽閉されてるんですよ」
「……で?」
これもあまり驚きは無かった。
記録映像を見る限り、この男は任務を途中放棄している。
あの焦りようからすると、知り合いの危篤か何か、とにかくそれほど急を要することだったのだろう。
そして、その程度のことで国家反逆罪として扱われるのがこの国だ。
「解放してやって欲しいんですよ、彼を。ついでにね」
「何のために?」
「それは言えません。申し訳ないですが。でも、今の彼ならきっとロードに協力してくれるでしょう。戦力になる、それだけでは助け出す理由になりませんか?」
「…………」
確かに、理不尽に城の地下牢に捕らえられた今、ヴァイルが国家に反抗心、もしくは多少の不満を抱えている可能性は大きい。
が、急に仲間が増えました、などと言えば内部の混乱もあるだろう。
彼と実際に戦ったウェルギムに意見を聞きたいところだが、生憎ウェルギムはいない。
リスクに見合うメリットがあるかどうか……。
「……分かった。ウェルギムを助け出すついでに、そいつも解放することにしよう」
「ありがとうございます」
少なくとも、目の前の男の情報はそれなりに価値がある。
それだけでもメリットと判断することもできるか、とクロードは考え、サフェスの提案を頷いて聞き入れた。
「では話しましょうか。ヘブンズゲートの開け方について」
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