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王城内部。
見上げるほど高い天井に豪奢なシャンデリアが直列にいくつも並び、入り口から向かいにある出口まで幅の広いレッドカーペットが敷かれている、部屋、というより廊下と言った方が正しいような、そんな空間。
そこに佇む、その雰囲気に明らかに似合わない戦闘服を着込んだ二人の男。
その片方、彼の妹同様に綺麗な金髪を揺らす男は、物珍し気に周囲を見回している。
「ここは……?」
ひとしきり見回してから彼がそう尋ねると、彼をここに連れてきたもう一方の男は簡潔にその答えを言った。
「最終防衛ラインさ。お前にはここを守ってもらう」
「……えーっと、あの、重要な役回りを任されるのは非常に嬉しいんですけど、こういうのは普通一番強い人がやるんじゃ?」
金髪の男、ラウルは、目の前で告げられた言葉に少し動揺していた。
自分はチーム・フォースの中でも最弱の存在。
エーク(Ⅰ)やティーン(Ⅲ)も、特に別の任務について王城にいないわけではない。
そんな状況で自分が最終防衛ラインなどという場所を任されたのだ。
疑問に思わない方がおかしい。
「俺には俺の考えがあるんだよ。お前はただ、ここに来た敵を殺し尽くせばいいのさ」
「…………」
「どうした?今さら殺しが怖くなったか?」
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