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甲高い警報が鳴り響き、王城の至る所で赤い光が発せられる。
それとほぼ同時にサーチライトがその侵入者達を照らした。
「予定通りだな。兵の意識があっちに向いている間に俺達も行くぞ」
爆音が鳴り響いた場所から何十もの人影が現れ、辺りにエネルギー弾を撒き散らす。
それに視線を向けながらクロードが呟くと、隣で同じようにその光景を見ていたリィが何かを思い出すように視線をさまよわせた。
「まさか、本当に説得するなんて思わなかったわ」
「それなりに成果を挙げているのだから容易い」
「それでも、あの爺さん動かすなんてすごいわよ」
「見た目そのままに頑固だからね~」
そこへ、身体強化よりディストによる先の見通しに専念してもらうためにグロースの右肩に座り、抱えられているフェルドが口を開いた。
一見視線はクロード達の方を向いているが、その視界は既に広範囲に広がっており、こちらに向かってくる敵兵がいないか調べている。
「俺もあの爺さんだけは怖いぜ」
悪戯に頭の上に顎を乗せてグリグリ左右に動かすフェルドに苦笑を浮かべながらグロースもそう言葉を漏らす。
初めて顔を合わせた時と、囮となってもらう作戦を切り出した時にその迫力は充分味わっていたので、クロードもそれは理解できた。
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