輪廻の箱庭

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メイヴィがそんなことになっているとは知らず、一人の青年が病室のドアを開ける。 言うまでもなくラウルである。 少し開いたドアからラウルが首を突き出すと、高揚した感情に呼応するように、その金髪が揺れた。 「メイヴィー?新しい知恵の輪売ってたから買ってきたよ~って何やってんの?」 目の前でベッドに足だけ乗せて床に転がっているメイヴィを見て、ラウルは苦笑いを浮かべる。 「っ~!?」 ラウルが来ていることに気づかず、新たに来訪した痛みに悶えるメイヴィ。 ラウルはその様子を見て、彼女の身に何が起こったのか大体理解した。 「メイヴィ、大丈夫?ほら、そんなとこで転がってたらまたどっかぶつけ――」 ガツンッ! 「くぁ!?」 「…………」 もはや無限ループになりかねない状況だったため、ラウルはメイヴィの肩をこれ以上暴れ回らないように両手で掴んだ。 「いった~!もう嫌や!知恵の輪なんて滅びてしまえ!」 (痛いのは知恵の輪のせいじゃないと思うけど……) 肩を掴まれてもラウルの存在に気づかずにメイヴィがぶちまけた言葉に、ラウルはもはや苦笑いしかできなかった。
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