輪廻の箱庭

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「で、解けなかったと」 「そう!今までここまで何も出来やんなんてことはなかったのに!これ不良品や!」 「あ、あははは……」 あの後、荒ぶるメイヴィを何とか宥め、大人しくベッドに座らせるまでには至ったラウルだったが、その代償としてメイヴィの愚痴を延々と聞かされていた。 愚痴の内容は当然知恵の輪のみだが。 「ちょ、ちょっと僕にも見せてよ。もしかしたら出来るかもしれないし」 愚痴スパイラルからぬけだそうとラウルが怖ず怖ずと手を差し出すと、メイヴィは軽く目を見開いた後、小さく鼻を鳴らして持っていた知恵の輪の突き出した。 「無理に決まっとるやん。見てみい。無理やりやらんともはや突破口なんて――」 「あ、できた」 「な?できやんやろ?だから言ったんや。できるわけ…………え……?」 ………… 気まずい沈黙がその場を包み込む。 ラウルの額から冷や汗が吹き出し、乾いた笑い声が漏れる。 「あは……は……ほら、メイヴィ、ビギナーズラックっていう言葉もある……じゃん……」 「なんでやねぇぇぇん!!!」 沈黙を破り、昼間の病院に屈辱の叫びが響き渡った。
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