輪廻の箱庭

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「私が!……ひっぐ、あれを解くために!……ぐすん、何時間かけたと!……思っとんねん!……うぅ……」 さっきまでラウルを叩き続けていたメイヴィもついにうずくまってしまい、ラウルはさらに動揺して慌てる。 「あ、いや、その、何というか、ご、ごめんね?」 「…………」 ラウルの謝罪など耳に入らないのか聞く気がないのか、ともかくメイヴィはうずくまったまま動かない。 「えっと……そうだ、メイヴィ、何か一つだけ、メイヴィの言うこと何でも聞くからさ。ね?機嫌直してよ。ねぇメイヴィ――」 「じゃあ今日はもう帰って」 「……え……?」 突然の冷たい一言に戸惑い、小さく声を漏らす。 メイヴィは顔を上げ、まだ目尻に少し残っている雫を拭いながらラウルの腕にかかっている新しい知恵の輪をかっさらう。 「見ときいや!こんなもん十分で解いてアッと言わせたるからな!やから今日はもう帰れぃ!」 「……ぷっ、なぁんだ、そういうことか。分かったよ。またね、メイヴィ」 「……あ、うん。バイバイ、ラウル」 箱から知恵の輪を出してみて十分で解けるか心配になったのか、尻すぼみの声にまた苦笑しつつ、ラウルは病室を後にした。
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