輪廻の箱庭

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ラウルが病室を出ると、メイヴィはラウルからかっさらった知恵の輪を急いでシーツの中に突っ込み、ラウルが解き明かした知恵の輪も同じようにシーツの中へ押し込む。 直後、メイヴィの目の前の床におぞましい黒い渦が現れた。 そこから柔らかな笑みと共に、茶髪の男が浮かび上がる。 チーム・フォースの影のリーダー、ロジーである。 「メイヴィ様、ついに時がやって参りました。ご準備を」 全身が黒い渦から出きると、ロジーはその場に流れるような動作で跪く。 「そう。案外早かったわね……」 それに対しメイヴィは特に驚いた様子もなく、窓の外を見つめたままただ淡々と呟いた。 そこに浮かぶ表情はないが、周囲に纏う雰囲気はどこか哀愁を放っている。 数秒の沈黙の後、メイヴィはゆっくりと振り返って自分に跪く男に向けて口を開く。 「分かったわ。すぐに準備するから、少し出ていてくれるかしら」 「メイヴィ様、その前に一つご報告せねばならないことが――」 「――というわけで、そのように動いていただいてよいでしょうか?」 「構わないけど、必要あるの?」 「絶対に必要なわけではありませんが、手間を大幅に省けます」 「……そう、じゃあそうするわ。とりあえず出て頂戴。私の着替えが見たいなら少しお話が必要だけれど」 「いえいえ、特に興味はございませんので」 「……ぶん殴るぞコンチキショー……」 「おお怖い。じゃあ、準備ができたら呼んでください」 そう言って笑顔のまま出て行く背中にメイヴィは舌を突き出し、閉まったドアを少しの間見つめた後、ゆっくりと周りのものを整理し始めた。
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