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「うん、昨日よりは大分楽!熱もない気がする。」
そう答えた秋吉の声が妙に高く感じたのは気のせいだろうか。
「確かに熱はなさそうだな。でも今日は無理せず仕事休めよ。俺もう帰んなきゃなんないけど何かいるもんあったら帰る前に買ってきとくけど?」
「特にないから大丈夫!ありがとね、佐伯くん。すごい心強かった。仕事に支障出たらいけないから行って。」
俺の言葉に一瞬考えるような様子で黙り込んだ秋吉だったが、次の瞬間には笑顔でそう答えてきた。
少しくらい寂しそうな表情を見せてくれても…。
少しくらい甘えてくれても…。頼ってくれても…。
結局秋吉の中では俺はまだその程度の存在なんだろうか。
「そうか、じゃあ行くな。」
頭に浮かんでしまったマイナスな考えを振り払うように俺はその場で立ち上がり、秋吉に声をかける。
秋吉は寝てていいのにと言う俺を制して玄関まで見送る為についてくる。
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