そんな展開の理由

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「佐伯くん、あのさ…。」 玄関で靴を履いていると後ろから秋吉に声をかけられた。 「ん?」 履き終えて秋吉の方に向き直ると、秋吉がやたら神妙な面持ちで俺を見ていた。 「あの、あのね!」 「うん。」 「…昨日の!」 “昨日の”という言葉が秋吉の口から出た瞬間、秋吉が何について話そうとしているのか瞬時に察した。 熱に浮かされていたから理解出来ていなかっただろうとか。 勢いで告ってしまったが秋吉は覚えてないだろうとか。 そう思ってこのまま告白については触れないようにしようと思っていた俺は恥ずかしさや焦りから一気に体温が上がる。 なにより、まだだ…。 まだ結論なんて欲しくない。 わかってる。まだ秋吉の中で俺はなんでもない存在だってこと。 ここで返事をもらって会えなくなったり、連絡出来なくなったり、そんな事にはなりたくなかった。
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