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この先このままの関係を維持して秋吉の気持ちが俺に向くのかと問われれば全く自信はないけれど、とにかく今はまだ秋吉から断りの言葉をもらう勇気はない。
「あ、そうだ。昨日の事だけど。」
「へ?」
意気込んでしゃべり出そうとしている秋吉に気づかないフリをして先手必勝といわんばかりに俺は切り出した。
「付き合って欲しいとは思ってないから。」
呆気にとられた様な表情を浮かべた秋吉が微動だにせず俺を見据えている。
“付き合って欲しいとは思ってないから。”
どうしても告白を自分からなかったことにすることは出来なかった。
言えなくて後悔した中学生の頃のオレ。
秋吉を火傷させて、話せなくなってしまったあの頃のオレ。
そいつがどうしても嫌だと言っていた。
もう伝えられなくて、意地を張って後悔はしたくないと言う。
でもフラれる勇気はまだない27歳の俺もいる。
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