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結局、この後上着に入れた手を出すタイミングまで考えなければいけなくなり、映画館まで秋吉と手を繋ぐ事はなかった。
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正直、いい歳して手を繋ぐタイミングも掴めなかった事が悔やまれ、映画には全然身が入らなかった。
そして彼女と彼氏という関係になった秋吉を隣にしてソワソワと身が落ち着かなかった。
手を伸ばせば彼女に触れられる。
俺も男だ、映画が終わって家に送って行ったら…その後何か出来るかなと期待もあり映画とは別の事を考えてしまっていた。
こんなに余裕がないのは初カノ以来だろうか。
映画の後は駅ビル内のレストランで夕食を食べて、いつも通りの会話を心掛ける。
駐車場から秋吉のアパートまでの帰り道、秋吉の様子がなんとなくおかしい事に気づいた。
車内で会話が途切れると秋吉はボーッと窓から外を見て物思いに耽っている。
なんか…元気ない?落ち込んでる?
体調悪そうには見えないけど…。
俺、なんかしたか…?
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