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「着いたぞ。」
アパートの駐車場のフリースペースに俺は車を止め秋吉に声を掛けた。
「へ？あっ、あ、ありがとう！」
俺の声かけで我に返ったのか、秋吉は体をビクッと揺らしてから、焦った様にそう答えた。
時間は２０時過ぎ。
住宅街にある秋吉のアパート付近はこの時間になると割と静かで人通りも少ない。
アパート前の街灯が仄かに車内を照らしていて、周りはすっかり夜の雰囲気だ。
秋吉がシートベルトを外し、車を降りようとしている。
ただ、なぜ元気がなさそうなのか、このまま帰してはいけないような気がして、
「今日なんか違うくねぇ？」
考えるより早いか、声が出ていた。
「えっ？」
秋吉が驚いた様な顔をして助手席のドアハンドルに手をかけたまま運転席の俺の方を見てくる。
「なんか変つーか…落ち込んでる？」
「そ、そんな事ないよ。」
ドアハンドルから手を離し、胸の前で両手をブンブン振りながら秋吉が答えた。
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