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調剤薬局で薬剤師として働いている秋吉。
えらく難しそうな本のタイトルを目にして、俺の全然知らない世界で秋吉は働いていているんだなと尊敬の念を抱く。
「秋吉、仕事でこんなん読んでんだ?」
俺はおもむろに本棚から一冊取り、パラパラとページをめくる。
「うん、まあ…。でもあんまり難しいのは読まないよ。仕事で使うのは医薬品集がほとんどだし。」
「へー」と小さく返事をして、本に目を落とす。
秋吉、昔から勉強出来る方だったもんな…。
そんな事を思いながら、本を閉じて元あった場所に戻した。
「……。」
「……。」
隣で本を手に取り中を確認したり、また戻したりと秋吉は真剣に本を物色し始める。
俺はこの場違いな場所で特に読む本もなく、そんな秋吉の隣で時々秋吉の横顔をチラチラ見ながら佇んでいた。
真剣な表情も新鮮でいい。
普段の表情と違う秋吉を見るのも、またいい。
そんな事を考えていたら、
「佐伯くん、良かったら自分の見たいところ行って来て。」
秋吉に声をかけられた。
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