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「あー…うん、そうだな。」
そう返事をしたものの、秋吉の真剣な顔をもうちょっと見ていたくて、俺はその場に留まっていた。
「あれぇ?秋吉さん!?」
背後から高い声がして、秋吉と俺は声の方に振り向く。
そこには20代前半くらいの小柄な女性がこちらに手を振りながら立っていた。
「わー偶然ですね!秋吉さんも本買いに来たんですか?そう言えば医薬品集古くなったって言ってましたもんねー。」
その女性はニコニコと笑いながら俺たちの側にやって来た。
「あ、うん、そう。黒木さんも?」
秋吉が親しげに返事をして会話を始める。
どうやら話から推測するに、この女性は『黒木さん』という秋吉の職場の同僚っぽい。
「はい。私もそろそろ新しいの欲しいなーと思って。載ってない薬が増えてきたんですよねー…と、秋吉さん、そちらの方はもしかして彼氏さんですか?」
秋吉と話していた黒木さんという子がチラリと俺の方に視線を寄こし、そう秋吉に尋ねた。
彼氏…。
いい響きだな、おい。
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