挙動不審な理由

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彼氏という言葉を噛み締め、「そうなの、こちら…」と秋吉に黒木さんを紹介されるだろうなと踏んで、なんとなく姿勢を正した俺。 「う、あっ、えっと…と、友達です!」 次の瞬間、秋吉の言葉によってそんな妄想は脆くも崩れ去った。 と、友達って…。 友達って……おい…。 やべぇ…なんか、すごい刺さった…。 秋吉が友達と言った意図は聞いてみないと分からないが、いい歳して職場に付き合ってる人を隠す必要もない気がする。 職場恋愛で隠すとかなら分かるけど、俺全然関係ないし。 職場で恋愛禁止とか!? いや、アイドルじゃねぇーんだから…。 「えー。そうなんですか?ホントに友達ですかぁ。」 「友達、ホントにただの友達。」 俺が1人脳内で1人ボケツッコミをしている間も彼女達の会話は続いていて、秋吉の『ただの友達』発言が更に俺の心にグサリと刺さる。 「ですかぁ?」 秋吉の後ろで佇んでいた俺に黒木さんという子が顔ごと視線をこちらへ向けて、そんな言葉を発した。 恐らく、俺に聞いてきているんだろうなと察する。 「秋吉がそう言ってるんで、そうなんじゃないですか?」 秋吉に合わせて『友達です』と言えば良かったのかもしれないが、心にモヤっとしたものを抱えてそんな事は言えなかった。
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