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秋吉と連絡を取り始めて早3ヶ月が経とうとしている。
初めて2人で会ったあの日の『友達として作戦』が功を奏したのか、秋吉の警戒心はこの3ヶ月でみるみる消ええていった様に思う。
心なしか硬かった電話口の声も会った時の表情も、今では柔らかくなり俺にも心を許してくれているのがなんとなくわかる。
中学の頃の出来事には一切触れられることもなく、もしかしたら秋吉の中では大した出来事ではなかったのかとも最近では思い始めている。
忘れられないような傷じゃない…今ではすっかりあの頃の傷痕も消えてしまっていて、秋吉の中では忘れ去られているとそう思いたい。
だから意気地なしの俺は親しくなれた秋吉にあの出来事を自ら持ち出すことも出来ず、謝る事も出来ていない。
嫌われたくない…。
せっかくここまで距離が縮まったのに、秋吉にあの出来事を思い出されて嫌われたくはないんだ。
俺は臆病な上にどうしようもない卑怯者だ。
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8月14日。
今日は地元で行われる花火大会の日だ。
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