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こんな暗がりの人気のない場所に長居したら何をしでかすかわからない。
秋吉が助手席でシートベルトをしたのを確認すると俺は急いで車を発進させた。
ただ2人きりの状況は車の中では変わらず、俺は必死で心を落ち着ける。
沈黙が続くと余計に車内の空気が艶っぽいものに変わっていっている気がする。
俺の気のせいか!?
俺だけか!?
「なんか今日いつもと違わね?」
艶っぽい空気を払拭したくて、秋吉に問う。
「一瞬…秋吉ってわかんなかった。」
「ゆ、浴衣のせいじゃないかな?ね、馬子にも衣装ってやつよ!」
俺の言葉におどけながら自分を卑下する秋吉。
「…そんなことねぇよ…可愛いよ。」
気付いたらそんな言葉が漏れていた。
意地を張った事で後悔した過去がある。
意地を張った事で秋吉を傷つけた過去。
もう秋吉を傷つけたくない。
それが無意識に出てしまったんだと思う。
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