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俺だけなんだろうな…こんなに緊張してんのも。
手を繋いだだけでこんなに嬉しいのも。
秋吉の手を引きながら落ち込む俺。
「空いてる場所ねぇーな…。」
会場をしばらく歩き回ってみたものの川原にはシートを敷き今か今かと花火を待ちわびる人々で溢れかえり、俺達の座れるような場所はない。
なんか段取り悪りーな…俺。
秋吉、せっかく楽しみにしてたのに…最悪だ。
何度か付き合っていた彼女と来た事もあったが、久しぶり過ぎて完全に要領を忘れていた。
もっと早く来るべきだったとか、場所に目星をつけておくんだったとか反省点ばかりが脳裏をよぎる。
「あのさ、私と真紀子が毎年見てる場所があるんだけど…そこ行ってみる?でもちょっとここから離れてるからさ、花火を真下では見られなし。あ、立って見なきゃダメなんだけど。」
俺が静かに落ち込んでいると秋吉が俺の様子を窺うように提案をしてくれた。
「じゃあ…」と返事をするとニコリと笑い、秋吉が俺の手をひきながら歩き出す。
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