キスの理由

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「これは穴場だな。」 「でしょ?ちょっとオバケ出そうな雰囲気だけどね。」 「確かに。」 斜め上方に上がり始めた花火が映る。 真下で見るほどの大きさはではないが充分に観賞出来る。 花火の光に照らされて、秋吉の更に後方にもまだ道が続いていっているのが見えた。 …これはもう色んな意味で穴場だな。 秋吉たち…毎年ここで花火見てカップルに出くわさなかったんだろうか…? 花火で盛り上がった男女が花火後に何かを致すには絶好の場所だろ。 花火が終わってすぐ帰ればそんな現場に遭遇する事もなかったのか? そんな事を考えながら、この2人きりの状況にも場所が場所なだけに余計にモヤモヤしてしまう。 「真下だと首疲れるから、少し離れて見た方が楽だよな。花火って。」 「そう、そう。肩凝るよね。」 少しでも邪な気持ちを消そうと秋吉に花火の話をすると秋吉は欄干に手をかけながら無邪気にそう答えた。
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