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食べ終わるのを見届けて、食器を片付けてからコップに一杯の水を汲んで秋吉に持って行く。
「ありがと…。」
秋吉はそう言って病院からもらった薬を水と一緒に口に含む。
「ん。」
さっきお粥を食べさせるという恥ずかしい行為をしてしまった俺は、秋吉のお礼にもまだ恥ずかしさが尾を引いてまともに答えられない。
なんと情けない…。
「そー言えば佐伯くん仕事は?」
空になったコップを秋吉から受け取り、台所に持っていって洗っていると秋吉に声をかけられた。
「あ?終わってから来たって言っただろ?」
質問の意図がわからず疑問を抱きながら返した言葉はひどくぶっきら棒になってしまった。
「じゃなくて、明日仕事でしょ?帰るの遅くなると明日辛いよ。」
秋吉は少し慌てた様子でベッドの上で肘をついて上半身を起こしながら俺の顔を見つめている。
自分が風邪で弱っているというのに、コイツはまだ人の心配してんのか…。
少し呆れた気持ちを抱きながらも胸に広がる大半の思いは愛しさ。
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