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「行かないで…。」
そう言って秋吉は立ち上がろうとベッドのフチにかけていた俺の手にそっと触れてきた。
ドキン…。
大きく心臓が跳ねる。
秋吉は病人だ。
この部屋に入ってからずっと自分に言い聞かせていた。
「…っ。」
声にならない声が思わず出てしまう。
そう、病人で、弱ってて…そして俺の事を信用して部屋にあげてくれている。
2人きりだとか、秋吉が風邪で妙に熱っぽい視線を向けてるからだとか、そんなんで俺は自分の欲望に負けるわけにはいかない。
花火の時の様にまた我を忘れて手を出したら、次は絶対に秋吉に向き合う事が出来なくなる。
必死の思いで湧き上がる欲を押し殺して、俺は再び秋吉のベッドの傍らに腰を据える。
なんとかギリギリで欲を押さえつけて、ふと秋吉の方を見た。
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