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―PM2:30―
私は歩きだったが,早めに公園につき,彼を待った。一分過ぎるごとに心音が速くなっていく。
こうしているうちに3時まであと3分になった。その時,彼は走ってやってきた。
「お待たせ!待った?」
「ううん!今来たところだよ。」
「そっか。で,話って何?」
今まで見せていた和やかな雰囲気から,急に真面目な顔つきになった。
「あの…ね。私…たくちゃんが…好きなの。だから付き合って欲しいんだよね。」
私は今の気持ちを精一杯に伝えた。
「そうだったんだ…気持ちは嬉しい。友達としては好きだよ?でも恋愛感情はない。ごめんね?」
「そっか……わかった…っ…」
振られる覚悟はできていた。しかし実際に言われると簡単に決意は崩れてしまう。今までの気持ちが止めどなく溢れ出す。
「泣かせるつもりはなかったんだ。ごめんな。」
そう言って彼はタオルを差し出した。私はそれを受け取り,顔に覆った。
しばらくすると落ち着きを取り戻し,腫れあがった目で彼を見た。
「ごめんね。タオルありがとう。今度洗って返すから。」
「いいって,そこまでしなくても。」
「いや!洗うったら洗うの!」
「わかったって。お前には勝てねぇな~」
「呼び出して悪かったね。じゃあ,帰るね。ばいばい!」
「ああ。じゃあな。」
私は無理して笑顔をつくった。その嘘の笑顔がばれる前に,私は彼に背を向けて,また腫れた目に涙を浮かべた。
失恋。
今まさにその言葉がぴったりだろう。
近いはずの家までの道のりも,なぜか今だけは遠くに感じた。
私は初めて恋をして,
初めて失った。
私は今,無性に人が恋しくなった。
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