0・女の子が欲しいです。

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……家族がもう1人欲しいのは息子だけじゃないんですけどね。 不安そうに目を潤ませる夫の首に腕を回してしがみつくと、彼の後ろで眠る息子の小さな半開きの口を見て目を細めました。 「んぅ……私は産みたいですよ?どんなに痛くてもけー君との赤ちゃんなら何度だって。大好きなけー君との愛の証ですからね。」 「そう。カミィちゃんは欲張りだね。僕だけじゃ足りない?今ならニュクスも付けてあげるよ?」 「へっ!けー君もニュクスたんもとっくに私のですよ。次に産まれる子も私のです。」 吹き出して「ズルい」と言う夫に私からちゅーすると「仕方がないね」と呟かれます。 「他でもない君と息子が望むなら我慢する。」 「次は女の子がいいです。予言して下さい。けー君が言ったら当たりそうな気がしますよ。」 「そう?僕はカミィちゃんに似てさえいたらどっちでもいいんだけど……君が言うなら女の子作ろうか?」 「……生々しい言い方は嫌です。と言うか、けー君選べるんですか?」 ふふっと意地悪そうに笑った魔王様は、久々に爆弾を落っことしやがりました。えぇ。 「ううん。でも取り敢えずユート君に女の子の作り方聞いて来るね?」 …………ちょ、待って!あんた、あの男に何を聞くつもりなんですよ!? 「ああ、敢えてレティーの前で。」 「最っ低ですよ!それ、あの2人に八つ当たりしたいだけじゃねーですか!!」 「否定はしない。それよりカミィちゃん?ニュクス起きちゃうよ?」 ……ん。慌てて口を押さえましたけど、既に目を擦りながらむくりと上体を起こしてしまった息子に申し訳なく思いながら抱き上げると、夫が私ごと抱き締めて言いました。 「おはよう。もし兄弟が出来たら名前どうする?ニュクスが付けていいよ。」 ぱちくりした目を輝かせて「本当に?」と返し、腕組みをしながら考え込む姿に萌えてるとニュクスは可愛い名前を提案してくれました。 「じゃあ、妹だったらヘリアンサスから取ってリアンね。ボクが1番好きな花。」 「そう。可憐な娘に育ちそうだね。……僕に似てさえいなければ。」 「何て事言うんですか!?素敵な名前です。きっと愛らしく香って皆に好かれる娘に育ちますよ。」 「弟だったら刃竜。ボクが1番好きなドラゴンの名前だよ。」 「そうですか。強そうな子に育ちそうです。……貴方。やっぱりあの男に聞いて来て下さい。」 「解った。」
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