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──ピピピッ。
その音が部屋に響いて、紗綾(さあや)は目を開けた。
カーテンの隙間からは、陽光が射し込んでいる。
紗綾は何度か瞬きをすると、体を起こした。
「……はぁ…」
その目に映る色を感じて、紗綾は大きくため息を溢した。
それは、一週間ほど前からずっと同じ色だから。
混沌とした灰色は、紗綾を重く突き落とした。
そして、今日もまた瞳には涙が溜まっていて、なにかの拍子に滴り落ちる。
そのたびに胸が強く締めつけられて、様々な想いが流れていった。
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